注意:ピエロ同人。つまりホモ話です。嫌いな人は避けてください。

* * * * *

アイジは毎日どのように過ごしているだろうか。
笑っているだろうか。
あの笑顔で人々を魅了しているだろうか。
蒼い鳥。
それは誰にも幸福−シアワセ−を運ぶ鳥。
カゴの中に閉じ込めたら、きっと死んでしまう。

* * * * *

家に帰ると置き忘れていた携帯が光っていた。
見れば留守電があるようだ。
再生ボタンを押し、耳にあてる。

『・・・・・・』

無言電話?
耳から離そうとしたとき、突然音に動きがあった。

『・・・笑えなくなった』

ピー――――――――――――ッ。

それは羽を折られた鳥の声。

「アイジ・・・?」

僕は呆然と携帯を見つめるばかりだった。

翌日出社してみると、アイジはうちのプロダクションから姿を消していた。
ブランドの専属モデルも解約されたらしい。
大きな痛手だ、と父は頭を抱えていた。

僕はただアイジがどうしているのかだけが気になった。

『お掛けになった電話番号は・・・』
「くそっ!」

乱暴に携帯をソファに叩きつける。
アイジと連絡をとれずに日々は過ぎていった。
最近苛々しているせいか、目つきが鋭くなったとよく言われる。
顔は変わってないのに雰囲気だけで人はいくらでも姿を変えられるらしい。

* * * * *

開いてない窓を自由にできたら。

* * * * *

微かに音が聞こえた気がした。
それは本当に空気が震えたかどうか程度の僅かな変化。
かたん、でも、ことん、でもなく、空気が変わった。ただその程度の。

「・・・?」

不審に思ってドアを開ける。
うずくまるその姿は、羽の折れた鳥。
フードからのぞく髪は僕が見つけた当時のままの蒼い色。
ゆっくりその顔があがって、僕を捕えたのはあの強い瞳。

「あい、じ・・・」
「潤くん・・・」

笑おうとして、その瞳は崩れた。
ぼろぼろ、と大きな滴が落ちる。
まるでそれは恵みの雨。

「アイジっ・・・!」

とっさに僕は抱きついていた。
細く長い手足、大きな瞳。
「綺麗」という表現が似合う僕の蒼い鳥。

「潤くんじゃなきゃ・・・ダメなんだ」
「うん・・・」
「俺を見つけたのは潤くんでしょう?」
「うん」

ああ、僕だけの蒼い鳥。

「ありがとう、アイジ」

もう逃がさない。
その羽の傷が癒えても。
飛ぶときは僕の手をひいていって。
どこまでも、蒼く―――。

<END>

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